犬槙リサ遺稿集「新しい幸せ」の感想をお聞かせください (^-^)

 

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みなさまからの評価

55つ星のうち平均5(2件のレビューに基づく)
星5つ100%
星4つ0%
星3つ0%
星2つ0%
星1つ0%

美しい

2018-05-02

一目見て、美しいと思った。 柔らかくも凛と咲く木蓮の花をあしらった、粋な表紙。頁を繰れば、これまた美しい言葉が連なり、生き生きと物語を創っている。 犬槇氏が構築した世界はリアルだ。読み進めるにつれ、もしかしたらすべてが実在していたのではないか、と錯覚するほどだ。おそらく、氏が相当な知識と想像力を持っていたからだろう。物書きを趣味とする者として、羨ましいかぎりである。 作品の多くは大正時代を描いたものだが、なかに一編だけ、病院での一夜を綴った現代作品がある。一時的な病気で入院した主人公と長く臥せっている老人のやりとりに「命」を考えさせられた。ある意味、氏がもっとも伝えたいテーマなのかもしれない。 どの作品も犬槇氏らしい。何度読み返しても、そこそこに氏の想いがきらりと光る。文字通り、魂のこもった美しい作品なのである。 最後に収録された「大正オペラ座」は、第一章・第一幕のみだ。とても気になるところで終わっているので、いつかどこかで是非読ませて欲しい。それまで「新しい幸せ」を読んで我慢しようと思う。

京元

描写の細かさ

2018-04-28

収められている短編の時代背景の多くが大正であり、登場人物たちは10代からギリ20代の若者たちです。 大正時代というと第一次世界大戦が始まる一方、目まぐるしく文化が花開き、 当時のまま残されたモダンなデザインの建築物の中に入ると現在でもそのロマンチックな雰囲気を味わうことが出来ます。 そんな物騒でもあり妖艶な時代を、著者はまるでタイムマシーンに乗って昨日見てきたかのように細部にわたって描写しています。 よほど好きでなければここまで調べて書く事は無理、という濃さです。 とくに「コンディトライ」では、洋菓子についてここまで細かく設定して書いた小説は他にはないだろうと思うほど。 時代設定描写の細かさに対し、登場人物たちのセリフはラフな口語調でいつの時代も変わらない若者像があります。 「役儀納め」で主人公たちが浅草に出掛ける場面では一気に瑞々しさが増し、堅苦しさから解放された二人の 鮮やかなシーンが広がって行きます。

きさな

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